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遺言書の必要性


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遺言書の必要性

“遺言書が必要では? と考えられる方”

“遺言書が必要では? と考えられる方” についての解説

① 法定相続人がお二人以上いらっしゃる方

「法定相続人」” とは、
“民法の規定により、相続権を有するとされる方” のことを言います。

そして、法定相続人がお二人以上いらっしゃる場合において、相続が開始された際、
法的に有効な遺言がない状況でありますと、

各法定相続人の相続分を確定させるためには、
「遺産分割協議」における、法定相続人全員の合意が必要となります。

また、この遺産分割協議が合意に至らない場合、
法定相続人同士において、遺産の分割を巡り、「遺産分割調停 さらには 審判」に発展することも
考えられ、

✓ 現配偶者と前配偶者にそれぞれ子がいらっしゃる場合

✓ 嫡出子と非嫡出子がいらっしゃる場合

✓ 実子と養子がいらっしゃる場合

等は、よりそれが顕著になるのではないかと推察されます。

一方、遺言により、
すべての遺産について、誰が・何を・どのように相続するのかを漏れなく指定されておけば、
遺産分割協議は不要となりますので、

法定相続人がお二人以上いらっしゃる方において、
“法定相続人同士による対立は避けたい“ と望まれる場合は、遺言書の作成が必要となります。


② 法定相続人が存在されない方

この解説においての、“「法定相続人」が存在されない方” とは、
“民法の規定により、相続権を有するとされる方が、出生されていない方 または 死亡されている方” の
ことを言い、
具体的には、“配偶者・子・孫・父母・祖父母・兄弟姉妹・甥姪 等のどなたも存在されない方” と
なります。

そして、法定相続人が存在されない方について、相続が開始された際、
法的に有効な遺言がない、および、
「特別縁故者からの財産分与の請求」がなされていない状況でありますと、
相続債権者に対する清算分を除き、その遺産は国庫に帰属することとなりますので、

法定相続人が存在されない方において、
“自身の遺産を譲りたいと思う方”
がいらっしゃる場合は、遺言書の作成が必要となります。

〈“自身の遺産を譲りたいと思う方” の例:内縁関係の夫、妻・いとこ・友人、知人 等〉


③ 法定相続人のどなたかと音信不通である方

この解説については、“「法定相続人」のどなたかが行方不明・安否不明である方” も該当されます。

そして、これら顔を合わせることのできない法定相続人がいらっしゃる場合で、かつ、
法定相続人がお二人以上いらっしゃる場合において、相続が開始された際、
法的に有効な遺言がない状況でありますと、

各法定相続人の相続分を確定させるためには、
まずは、他の法定相続人が、「不在者財産管理人の選任の申立て」あるいは「失踪宣告の申立て」
行い、その上で、
「遺産分割協議」における、法定相続人全員の合意が必要となります。

これは、他の法定相続人に時間的・労力的な負担を掛けることとなります。

一方、遺言により、
すべての遺産について、誰が・何を・どのように相続するのかを漏れなく指定されておけば、
上記いたしました各申立て、および、遺産分割協議は不要となりますので、

法定相続人のどなたかと音信不通である方において、
“他の法定相続人を困らせたくない” と望まれる場合は、遺言書の作成が必要となります。


④ 法定相続人以外の方に遺産を譲りたい方

「法定相続人」以外の方” とは、
“民法の規定により、相続権を有するとされる方では ない方” のことを言い、

✓ 内縁関係の夫・妻

✓ 養子縁組をしていない連れ子

✓ 子がいらっしゃる場合の父母

✓ 子 又は 父母がいらっしゃる場合の兄弟姉妹

✓ 「代襲相続」に関わらない孫・甥姪

✓ 配偶者の親族

✓ 息子の嫁・娘の婿・いとこ

✓ 友人・知人

等が考えられます。

そして、これらの方々に遺産を譲るためには、
「遺贈」する旨を遺言しておくことがその方策となりますので、

法定相続人以外の方に遺産を譲りたい方は、遺言書の作成が必要となります。


⑤ 相続させたくない人がいらっしゃる方

“相続させたくない人” には、
「推定相続人」のうちの誰か” が該当することとなります。

そして、推定相続人(→兄弟姉妹は除く)には、
民法により保障される最低限度の相続財産の割合、「遺留分」と言う規定が設けられており、
これは、遺言によっても剥奪できない権利となっております。

それでも、この遺留分すら相続させたくない場合、
一定の要件の下、生前に行う手続き または 遺言により、「推定相続人の廃除」を請求することが
できます。
ただし、当該廃除の認容率は20%程度とされ、遺言者の思いが実現し難い現状であります。

これらのことを踏まえた上で、
相続させたくない人がいらっしゃる方において、
“遺言による推定相続人の廃除” を望まれる場合は、遺言書の作成が必要となります。


⑥ 相続財産が自宅のみである方

“相続財産が自宅のみである方” には、
“自宅の土地・建物、双方を所有されている方” の他、“自宅の建物のみを所有されている方” も
該当されます。

そして、相続財産が自宅のみである場合で、かつ、
「法定相続人」がお二人以上いらっしゃり、そのうちのどなたかが、
自宅を住居としたいと望まれるている場合において、相続が開始された際、
法的に有効な遺言がない状況でありますと、

自宅を住居としたい法定相続人が自宅を相続するためには、
「遺産分割協議」における、法定相続人全員の合意が必要となる他、
不動産を遺産分割するための方法となります「現物分割」・「代償分割」・「換価分割」・「共有」、
これらいずれについても、さらに考慮すべき点が顕在化することとなります。

✓ 「現物分割」については、
土地を分割して相続しようとする場合で、その分割線上に自宅が跨がることとなる場合、
自宅を住居としたい法定相続人は、自宅の一部撤去を考慮する必要がある。

✓ 「代償分割」については、
自宅を住居としたい法定相続人は、他の法定相続人に対する代償金について
考慮する必要がある。

✓ 「換価分割」については、
自宅自体、残らない。

✓ 「共有」については、
自宅を住居としたい法定相続人は、自宅についての権利関係が複雑化することを
考慮しておく必要がある。

一方、遺言により、
自宅を住居としたい法定相続人を自宅の相続人に指定し、その上で、
他の法定相続人に対する「遺留分」を準備しておくことが可能であれば、
自宅を住居としたい法定相続人は円滑に自宅を相続することができますので、

相続財産が自宅のみである方において、
“自宅を住居としたい法定相続人に対する配慮を施したい” と望まれる場合は、
遺言書の作成が必要となります。


⑦ 相続財産に債務をお持ちの方

この解説においての “債務” とは、
借金・滞納税・滞納賃料・滞納保険料・保証債務 等の債務を言い、
これらは “マイナス財産” と呼ばれております。

そして、マイナス財産は相続財産として、
法定相続人の相続分に応じて当然に分割されるものでありますので、
法定相続人がマイナス財産の存在を把握できずに相続をされた場合、
その法定相続人は不本意な形により債務者となることとなります。

このような事態を避けるには、
遺言書作成時に併せて作成されることも多い “財産目録” を準備することにより、
法定相続人がマイナス財産の存在を容易に把握できることとし、
「相続放棄」あるいは「限定承認」を行うか否かの選択を円滑に行えるよう配慮しておくことが
必要となりますので、

相続財産に債務をお持ちの方において、
“法定相続人の本意となる相続” を望まれる場合は、財産目録の作成が必要となります。



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代表 行政書士

岩本修

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